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2017/02/19【飛行時間の短縮は大きな経済価値を生み出す】

 日本中の期待を集めて三菱航空機が開発を続けている日本初の国産ジェット旅客機「MRJ」は、2年後の引き渡しを目指していますが、過日、5度目となる納期の遅れが発表されました。

 MRJは定員が70席から90席程度の小型の旅客機です。
燃費などの環境性能や、広さなどの環境性能を特徴としており、既に内外の航空会社から受注を得ています。

 しかし、MRJと似たコンセプトを持つ同じクラスの機体は、カナダやブラジルのライバル社も開発を進めており、今後、熾烈な販売競争が展開される可能性があります。

 一方、米国のベンチャー企業であるBoom Technology社は、同程度の小型旅客機でありながら、超音速で飛行する機体の開発を進めています。
13年前に事実上唯一の超音速旅客機が、安全性や環境性能などが原因で退役して以降、旅客機と言えば亜音速で飛行する乗り物ということが当たり前となっていました。
しかし、現代では、効率的なエンジンや、空力設計技術の進展で、最新の戦闘機はアフターバーナーと言った燃料を大量に消費する装置を使用しなくても、超音速での巡航飛行が可能となっています。

 そうした技術の延長線上で、Boom社は民間向けの旅客機を開発しています。
同社が言う通りに2020年代に航空会社の採算に見合った機体が出来上がるかは分かりませんが、例えば、長距離の国際線の飛行時間が現在の半分程度になるとすれば画期的なことではないでしょうか。

 移動時間を短縮することは、それだけで経済的な価値があります。
日本も、JAXAが超音速飛行技術の蓄積を進めていますが、ライバルの追従を許さない独創的なコンセプトで、世界の航空宇宙産業をリードするような存在となってほしいと考えます。