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2017/01/29【国民に“そんなに働くな”という政府とは】

 政府は、時間外労働の上限について、年間で720時間(月平均60時間)とし、繁忙期など月間で最大100時間とすることで調整に入りました(※)。
現在の法律では、労使間で合意すれば、事実上、際限なく時間外労働が可能ですが、法律が改定されれば、上限を超えた場合、罰則が適用されることになります。

 確かに、過労死など行き過ぎた時間外労働には歯止めが必要です。
また、労働時間の短縮に取り組むことで、生産性が向上し会社の業績アップに寄与することもあるかもしれませんし、仕事以外の時間を増やすことで生活の自由度が上がり、優秀な人材の確保に繋がるかもしれません。

 しかし、すべての業種に一律に労働時間の上限を設定すると、様々な弊害も乗じるのではないでしょうか。
会社の存亡に関わるような事態では、結果として100時間を越えなければ乗り切れないということもあるでしょうし、何よりもその仕事が好きで100時間を超えてでも取り組み続けたいという月もあるかもしれません。

 また、製造業などでは、単純に操業時間に比例して売り上げが増減するということもあるでしょうし、そもそも企業というものは、長時間労働の是正が叫ばれる以前から生産性の向上に心血を注いでいるというのが一般的な姿です。

 政府が働く時間までも縛ろうとする姿勢に、自由を奪われる印象を感じます。
現政権では、2月にプレミアムフライデーの実施を推進するなど、働く時間をどんどん短くすることを呼びかけています。
勤勉に働くことは本質的に良いことの筈ですが、仕事以外に時間を割くことが良いこととされる風潮が強まれば、我が国の未来がどうなるのか心配になります。

※:1月28日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170128-OYT1T50061.html?from=ytop_top