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2017/01/08【ここにもロシア制裁に参加したツケが】

 中国が最新鋭のロシア製戦闘機の引き渡しを受けたとの報道がありました(※)。
この戦闘機は「Su-35」で、いわゆるステルス機ではありませんが、自衛隊の主力戦闘機である「F-15」を凌駕するとの評価があるほど戦闘能力が高く、ロシアでも配備が始まって間もない機体です。

 ロシア側は、当初、中国への技術流出を懸念して輸出を見合わせていましたが、今回、引き渡しに至った経緯は不明です。

 中国は、スパイ活動などで各国から情報を取得するとともに、ロシアなどから購入した兵器を分析することで、軍事技術を高めてきました。
例えば、中国初の空母「遼寧」に搭載されている艦上戦闘機「J-15」も、中国は独自開発としていますが、Su-35の原型である「Su-27」から派生したロシア製「Su-33」のいわゆるデッドコピー機であることは明らかです。

 先に飛行している姿が公開された中国のステルス戦闘機「J-20」は、一定のステルス性能を有していると見られるものの、レーダーをはじめとした火器管制システムやエンジンに不安があるとされます。
もしも、今回、引き渡されたSu-35から、火器管制システムやエンジン技術を盗用するようなこととなれば、J-20の能力を飛躍的に高める恐れがあります。

 ロシアも愚かではないはずなので、前例を踏まえて、技術流出を防止する何らかの方策を施していると思われます。
しかし、潜在的な脅威である中国に対し、技術流出のリスクを冒してまでも輸出に踏み切らなければならないほど、ロシア経済は困窮しているとも言えます。

 中国軍のSu-35の存在は、自衛隊にとって大きな脅威になることは間違いありません。
ここでも、日本がロシアに対する制裁に参加したツケが現れているのではないでしょうか。

※:1月7日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/20170106-OYT1T50088.html