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2016/12/30【慰霊の意味とは】

 安倍首相は、ハワイを訪れて真珠湾で慰霊を行いましたが、先の大戦で散った数多くの御霊が祀られている靖国神社には、近年、参拝していません。
 

 なぜ真珠湾で慰霊ができて自国の靖国神社には参拝しないのか、安倍首相は批判にさらされています。
 

 こうした批判を和らげるためか、閣内から稲田防衛相が靖国神社を参拝しました。
本来であれば安倍首相自身が参拝すべきですが、稲田氏の参拝には一定の評価ができます。

 しかし、参拝後の稲田氏の記者会見で、少し気になることがありました。
記者会見の内容が全て明らかになっている訳ではないと思いますが、報道されている限りでは、稲田氏は、今回の参拝を「祖国のために命をささげた方々に対し、感謝と敬意と追悼の意を表す」ためとしています。

 首相の真珠湾訪問では、各種マスコミも「慰霊」という言葉を使いましたが、「慰霊」とは文字通り「霊を慰めること」であり、この世を去った霊や魂といった存在が前提です。

 一方、稲田氏が言及した「感謝」「敬意」「追悼」といった言葉は、それぞれが慰霊に繋がる行為ではあるものの、霊や魂といった存在が前提ではなくとも成立する行為です。
稲田氏は、過去に「英霊」という言葉を使っているので、「慰霊」という認識もあるのかもしれませんが、今回は唯物的にも取れる表現なので少し気になりました。

 世の中では「慰霊」という言葉に代えて「追悼」という言葉を充てることも散見されますが、追悼とは、生前を偲ぶことであり、唯物的な枠内に留めることも可能な表現です。
一方、慰霊とは、極めて宗教的な行為であることがわかります。

 こうしたことからも、実は政治と宗教は切っても切れない間柄であることが分かると思います。