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2016/11/07【増大する除染費用の問題を解決するには】

 福島第一原発事故の除染作業に必要な費用が、当初見込んだ額の約1.5倍にあたる3兆7600億円に上っているとのことです(※)。
これは、人件費の高騰や作業に伴う伐採の費用が余計に掛かっていることなどによるもので、今後、この費用を如何に捻出するかが課題となっている模様です。

 しかし、除染費用を捻出するという発想と反対に、如何に抑えるかということも考えるべきではないでしょうか。

 なぜならば、そもそも、除染の必要性自体に疑問があるからです。
政府の除染作業の年間目標値は1ミリシーベル以下ですが、この値は国際放射線防護委員会(ICRP)が、原発事故による年間被ばく線量の目標を1~20ミリシーベルトの範囲で設定すべきだとする勧告に基づくものとされています。
ですが、目標値が1ミリシーベル“以下”ということであれば、実質的にICRPの勧告よりも厳しい値ということになります。

 しかも、自然界における世界の平均値は2.4ミリシーベルト程度ですし、ICRP自身も年間100ミリシーベルト以下では人体への影響は実質的に認められないとしているのですから、政府による今の除染作業は、科学的には本当は必要のない作業と言えます。

 除染作業の対象エリアの住民の方々の放射線に対する不安感が残っていることは事実ですから、政府は科学的な根拠に基づいて除染作業の必要性を見直して、きちんと住民の方々に説明すべきではないでしょうか。
ゆめゆめ選挙への影響を慮るあまりに除染作業を見直せないなどと考えてはならないと思います。

※:11月6日NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20161106/k10010757641000.html?utm_int=news-culture_contents_list-items_003