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2016/08/24【F-35の“次”の早期検討を】

 米軍の最新鋭のステルス戦闘機「F-35」が、来年1月に米国本土以外では初めて、米海兵隊岩国基地に配備されることが明らかになりました(※)。
F-35を巡っては、航空自衛隊仕様の最初の機体が10月に日本側に引き渡される予定です。

 レーダーに探知されにくいことを示すステルス性能は、現代の戦闘において、勝敗を決定づける重要な要素の一つです。
F-35はそのステルス性能に優れていると共に、現代の戦闘では同じく欠かせないネットワークを介した戦闘システムの一部として統合的に作戦運用できる機能にも優れています。

 そうしたF-35が在日米軍や自衛隊に配備されることは、抑止力の強化に貢献するものです。

 ただ、F-35を巡っては、ネガティブな情報も飛び交っています。
開発の度重なる遅延からも分かるように、その性能は要求される水準の最低レベルを満たしているに過ぎないとの指摘もあります。
これは、様々な仕様の機体を1機種で賄うために生じた弊害とも言え、軍事的な優位性を優先するというよりは、経済性を重視した結果とも言えます。

 また、F-35は第5世代の戦闘機と言われますが、ステルス性が重視されない運用下では、第4世代や4.5世代と言われる従来の戦闘機に比べて、戦闘能力が劣るとの指摘もあります。これはステルス性能を重視した結果、ある意味で仕方がないこととも言えますが、運用方法に制限が生じる可能性があります。

 更には、F-35に関する機密情報が中国に流出したとの疑惑があります。
実際にどの程度の情報が流出したのか定かではありませんが、対中国で考えた場合、F-35の戦闘能力に少なからず不安が残りますし、何より中国製のステルス戦闘機に開発に利用されることが懸念されます。

 このように、完ぺきとは言えないF-35ですから、日本はF-35以外の次期戦闘機の導入を急ぐべきであると考えます。
先に初飛行した「先進技術実証機」をベースとした国産戦闘機の開発はもちろんですが、世界最強と言われながら既に生産が終了している米国の「F-22」戦闘機の生産ライン再開を望む声が米国内で上がっていることから、国産戦闘機導入までのつなぎとして、日本側からF-22導入の再検討を働きかけることも選択肢の一つかもしれません。

※:8月23日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20160823/k10010649971000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_013