4月
08

2016/04/08【“パナマ文書”に思う】

 タックスヘイブンを利用している各国の著名人などのリスト「パナマ文書」が流出し、世界中を揺るがしています。CIAの秘密情報などを暴露したスノーデン氏の事件以上の情報流出事件として注目を集めています。
 

 タックスヘイブンとは、税がかからない、あるいは税率が極めて低い国や地域のことで、富裕層や国際企業などが自国での課税を回避する目的で利用することが多いとされます。
タックスヘイブンの利用自体は違法ではありませんが、道義上の問題や、マネーロンダリングに利用されるケースも多いため、今回流出したリストがもとで、既に辞任した政治家もいますし、捜査に乗り出した国もあります。

 習近平中国国家主席をはじめとした中国共産党の指導部の親族の名前もあがっており、共産主義を奉じているはずの国の指導者が、個人資産を防衛するためにタックスヘイブンを利用しているとすればたいへんな皮肉です。
流出したリストは膨大で全貌は明らかになっておらず、日本人がどの程度含まれているか分かりませんが、タックスヘイブンの実情を垣間見ることで、経済再生のヒントがあるかもしれません。

 この問題は単純に課税逃れを許さないように規制を強化すべきとの話ではないと考えます。
現在の日本の最高税率は、所得税と住民税を合わせると50%と超えます。富裕層には応分の負担をという考えもありますが、昔で言えば五公五民を超える水準であり、明らかに国民の自由を奪うものです。

 ですから富裕層のみならず中小企業の経営者など一般の国民の多くも節税に頭を使う状況になっています。
これを、10%なら10%という低い水準で一律のフラットタックス制を導入することで、無駄な労力を省いて、その分、国民の自由裁量を高めて、経済発展を目指すべきではないでしょうか。

 故サッチャー元英国首相の言葉ではないですが、金持ちを貧乏にしても、全ての国民が豊かになれるわけではありません。
それよりも、国民一人ひとりがどうやったら豊かになっていけるのか、その可能性を多数示すことが大切ではないか、こう考える次第です。

【参考】:綾織次郎著『GDPを1500兆円にする方法』幸福の科学出版