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2016/02/14【米国の極東重視の本気度は?】

 米海軍が導入する最新鋭のステルス駆逐艦「ズムウォルト」が佐世保に長崎県の佐世保に配備される可能性があるとのことです(※)。

 近代の水上艦艇は程度の差はあれどれもステルス性を考慮していますが、ズムウォルト級は従来の駆逐艦とは異なる最も前衛的な艦様を誇ります。
また、従来の巡洋艦を上回る排水量であるため、巡洋艦・駆逐艦といったヒエラルキーを形骸化するような大型艦でもあります。

 こうした最新鋭の艦艇を極東地域に配備することは、核ミサイルの開発を進める北朝鮮への牽制となると共に、武力を背景とした海洋進出を拡大させている中国への牽制にもなるため、評価できるものです。
今後、南シナ海で米軍が進める「航行の自由」作戦に、「ズムウォルト」が参加すれば、中国に対する大きなメッセージとなるでしょう。

 ただ、ズムウォルト級は高性能であるが故にコストがかさみ、米軍の運用の見直しもあって、建造は3隻に留まる見通しです。
その3隻のうちで日本に配備されるのは、どの艦かは現時点で不明ですが、配備される数はそう多くないため、配備がパフォーマンスであるという要素も強いものです。

 従って、オバマ政権やその次の政権が中国と対峙するにあたってどの程度本気なのか慎重に見極める必要もありそうです。
特に、年末の大統領選で民主党が勝利するようなことになれば、最新鋭の装備を極東に配備することとは裏腹に、米国はますます内向きになって各地域での関与を弱めていく可能性があります。

 その場合、中国や北朝鮮の圧力にさらされる日本は、抑止力を高めるために一層国防に力を入れる必要があります。

※:2月12日付時事ドットコムhttp://www.jiji.com/jc/zc?k=201602/2016021200102&g=pol