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2016/01/10【中国の海洋進出に“正義”は無い】

 沖縄近海における中国の海洋調査船の活動が、2016年は前年の2倍以上に増加したとのことです(※1)。
この中には、日本のEEZ内で事前に通告することなく活動しているものも含まれています。

 中国の海洋調査船の目的は、海底地形や潮流のデータを収集して潜水艦の活動などに利用する軍事的なものと、海底資源の探査など商業的なものが考えられます。

 このまま中国船の活動を野放図にしておけば、中国海軍の海洋進出が一段と活発化するとともに、有望な海底資源の可能性があれば尖閣諸島と同様に突然として領有権を主張し始めることも容易に想像できます。

 実際、中国は、尖閣諸島周辺で、海軍のフリゲート艦を改装して海警局の公船とした船舶を投入し始めています(※2)。
世界では、旧式化するなどして余剰となった海軍艦艇を、海事当局の公船として再利用することは良くありますが、今回、中国が改装したフリゲート艦は、最新型とは言えないもののフリゲート艦としてもアジア各国の海軍と比肩して一線での使用に耐えるものと考えられています。

 ミサイルなどの重火器を撤去したとはいえ、フリゲート艦を改装した船艇を尖閣諸島周辺に投入することで、中国のプレゼンスは確実に高まり、中国海軍艦艇の尖閣諸島周辺での活動に布石を打つものとなるのではないでしょうか。

 こうした中国の海洋進出に、まったく「正義」はありません。

※1:1月9日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20160109/k10010366051000.html
※2:1月6日付産経新聞http://www.sankei.com/politics/news/160105/plt1601050052-n1.html