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2015/12/06【フィリピンの教訓】

 フィリピン軍は約10年に戦闘機を配備しました(※)。
フィリピン軍は戦後、米軍の払い下げの機体など旧式の戦闘機を運用していましたが、近年は財政難もあって戦闘機部隊を維持できていませんでした。

 しかし、90年代に在比米軍が撤退すると中国軍の南シナ海での活動が活発化し、中国は南沙諸島でもフィリピンに近いミスチーフ礁をフィリピンの漁民を追い出す形で占拠しました。
そして、中国は、今年に入ってミスチーフ礁を埋め立て3千メートル級の滑走路を建設するに至り、フィリピンの目と鼻の先に中国の航空基地が出現する可能性が現実化しています。

 従って、フィリピンにとって戦闘機部隊の復活は急務と言えます。
今回、戦闘機の配備と言っても、領空侵犯措置など実際に運用できる状態になるまでには、訓練や付帯設備の整備などが必要なためしばらく時間がかかりそうですし、配備された機体も韓国製のいわゆる軽戦闘機であり、機数や能力が十分と言えません。

 一度失った領土領海を取り戻すには大きな困難が伴いますし、一度無くした防衛力を再構築するのにも多大な労力を要します。

 日本は、尖閣諸島周辺での中国軍の進出を念頭に先島諸島に自衛隊を順次配備することを計画していますが、フィリピンを教訓として防衛上の空白地域を埋めるべく、遅滞なく計画を進めてほしいと考えます。

※:11月28日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/151128/wor1511280036-n1.html