7月
10

2015/07/10【曖昧な解釈が将来に禍根を残す歴史認識問題】

 「明治日本の産業革命遺産」を世界文化遺産に登録することが決まりました。
当初、韓国政府は、日本が登録申請をしている施設の中に、戦時中、朝鮮人の強制労働が行われていた施設があるとして、各国に反対するよう働きかけていましたが、一転して登録に反対しない運びとなりました。

 そもそも、世界文化遺産登録を政治的な駆け引きの道具として利用する韓国の姿勢は問題なのですが、韓国側の反対にもかかわらず登録が決定した場合、韓国国内で朴政権に批判が向かうことを恐れて、韓国側が方針転換したとの見方があります。
 

 しかしながら、今回の登録にあたって発表された文章には、日韓それぞれが都合のいいように解釈できる内容が含まれています。
韓国側は、「日本が強制労働を認めた」としていますが、日本側は「強制性を意味するものではない」としており、日韓で解釈が百八十度異なっています。

 玉虫色の解決策と言えば聞こえがいいかもしれませんが、こうした曖昧な解決策は、こと中韓に関しては、将来に禍根を残すだけです。何としても世界遺産登録は譲れないという日本政府の思惑も理解できますが、外交上、歴史認識については、事実は事実として正論を貫く胆力が求められます。

 今回の登録にあたっては、水面下での日韓の交渉が取り沙汰されていますが、事前の合意内容を反故にするかのような韓国側の動きが伝えられています(※)。
過去の河野談話の発表の際も、韓国側は日本が慰安婦の強制性を認めれば、その後に補償を要求することはしないとしておきながら、現在になって更なる謝罪と補償を要求しています。

 今回の世界文化遺産登録の登録が、「朝鮮人の強制労働の明確な証拠はないが、日本政府が認めているのだから強制労働は事実だ」という慰安婦と同じ論法で日本政府に補償を要求することに繋がらないか危惧を覚えます。

※:7月6日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/150706/wor1507060006-n1.html