4月
16

2015/04/16【漠然とした不安から再稼動を中止していいのか】

 全国の原発が、再稼働できない状態が続いている要因の一つに、原子力規制委員会の新規制基準が厳しすぎるということがあります。
 

 例えば、活断層についてです。
断層は日本列島のあらゆる所に存在し、かつ既知の断層が地震予知に繋がった例はないにもかかわらず、40万年前まで遡って断層の活動があったか否かを判断し、活断層と判断されれば、その直上の原子炉は稼動できないと断定されるのです。

 これに対し、先般、福井地裁が高浜原発3・4号機の再稼動を中止する仮処分決定を出しました。
決定では、新規制基準は緩やかすぎて適合しても原発の安全性は確保されないとしています。
原子力規制委員会が世界で最も厳しいとしている新規制基準を、福井地裁は緩やかすぎとしているのです。

 福井地裁は、具体的に新規制基準のどの部分がどの程度緩やかすぎるのか示しておらず、ただ漠然と不安だから再稼動を中止する仮処分を出したという感が否めません。
ほとんど裁判官の感情的な判断にも思えますが、それが裁判だというのであればそれまでです。

 しかし、福島第一原発の事故があったからと言って、感情的に脱原発に走ってはなりません。
事故による放射能が直接影響して亡くなった人はいないという事実がありますし、帰宅困難区域や避難指示区域についても、放射線防護学の観点から厳しすぎるとの指摘があり、そもそも避難の必要があったのかさえ疑問なのです。

 再生可能エネルギーを増やすことには賛成ですが、再生可能エネルギーの多くは自然の影響を受けやすく、安定電源とは言えない状況です。
しかも、政治の責任として、化石燃料が日本に入ってこなくなる状況にも備えておく必要があります。
資源の乏しい日本が、エネルギー安全保障上、安定電源である原発を手放してはなりません。