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2014/08/28【日本も教訓とすべき】

 ベトナム政府の高官が訪中し、中国の習近平国家主席と会談しました。
この会談でベトナム側は、先の南シナ海での中国による石油試掘の強行に反対して行われたベトナム国内のデモで、被害を受けた中国人と中国企業に対して賠償する考えを示したとのことです(※1)。

 中国は、この反中デモのそもそもの原因を作っておきながらデモによる被害の賠償をベトナム側に求める一方で、2年前に中国各地で起こった官製反日デモでは、甚大な被害を被った日本企業に賠償をしていません。
それにもかかわらずベトナム側が賠償に応じた背景には、中国経済に依存せざるを得ないというベトナムの現状があるからです。過度に中国経済に依存するということは、国家の主権を失うことに繋がりかねないことが分かります。

 一方で中国は、フィリピンと領有権を争っている南沙諸島の岩礁群での埋め立て工事の規模を拡大させています(※2)。
中国のこの動きは軍事基地の建設と見られており、領有の既成事実化を図る狙いもあると見られています。

 問題となっている岩礁はフィリピンの近海であるにもかかわらず、現状ではフィリピン政府に中国と対峙できるだけの海上警察力も軍事力もありません。
中国は、こうしたフィリピンの事情を踏まえて、力による支配を進めているのです。

 このように中国は、周辺国を反中国で結束させないようにそれぞれの国に硬軟交えて対応し、したたかに自らの利益拡大を図っていると見ることができます。
我が国も、こうしたベトナムやフィリピンを教訓とする必要があります。
同時に、日本はこうした国々への支援を一層強化していくべきではないでしょうか。

※1:8月27日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H1O_X20C14A8FF1000/
※2:8月28日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/20140828-OYT1T50116.html?from=ytop_ylist