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2012/05/15【富裕層への課税強化は、国民の豊かさには繋がらない】

フランスのオランド新大統領が掲げた公約の一つに、富裕層向け増税があります。

これは、年収100万ユーロ(約1億200万円)超の富裕層の所得税率を75%に引き上げるとしたものです。

この公約の実現を見越して、早くもフランスから脱出しようとしている裕福層が増加しているようです(※)。

富裕層を狙い撃ちするような公約は、特に不況下では、中間層や貧困層の票を集めやすいものです。

しかし、富裕層への課税強化政策は、それらの海外流出を招き、結局は、税収の減少や経済の停滞をもたらします。

オランド氏は、「緊縮財政だけでは景気が冷え込み、雇用や賃金も悪化する」と主張していますが、せっかくの「雇用と成長の重視」の姿勢も、富裕層を狙い撃ちにする政策により、相反する結果になってしまう恐れがあります。

日本でも消費税増税とともに、所得税や相続税など「富裕層への課税強化」が盛んに言われていますが、こうした政策はまさに社会主義の政策そのものです。

日本には成功した者に嫉妬する傾向もありますが、富裕層を叩いたところで、自分たちが豊かになることはありません。

もちろん、成功者は成功者でノブレスオブリージュ的な精神を発揮することが求められると思いますが、それはあくまでも自主的に行うもので、強制的にむしりとられるべきものではありません。

富裕層を呼び込むことに成功した国は、結果的に国が豊かになり国民も恩恵に与れます。

従って、むしろイギリスのように減税を行って、富裕層を呼び込むことが繁栄に繋がると考えます。

※:5月11日付ブルームバーグ日本版http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M3U3OF6K50XS01.html