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2011/12/11【合成の誤謬】

☆リチャード・クー氏 「BEYOND TOMORROW」詳報(Fuji Sankei Business I 2011/11/08)

◆欧州危機の処方箋 今こそ財政出動

野村総合研究所のリチャード・クー主席研究員を招いた特別セミナー「BEYOND TOMORROW」(産経新聞社・ブルームバーグ共催、徳間書店後援)が今月1日に東京都千代田区の丸ビルで開催された。クー氏は、欧州の債務問題や米経済の景気減速を解決するため、「バブル崩壊後の日本の教訓を生かすべきだ」と指摘。処方箋(せん)として、積極的な財政出動などの必要性を指摘した。当日の講演の内容を詳報する。

■マネーサプライは回復せず

2008年のリーマン・ショックから回復してきた日本の鉱工業生産は、今年3月の東日本大震災で再び落ち込んだ。震災後、急速に回復に向かっているが、足元では回復がもたついている。日本の輸出先である海外のもたつきが原因だ。

米国の鉱工業生産はリーマン・ショック以降の落ち込みよりは改善している。だが、いまだに05年の水準だ。欧州も同じく05年の水準に落ち込んでいる。ドイツだけが過去のピークに戻ったが、フランス、スペインの鉱工業生産は1997年の水準だ。

生産だけではない。マネーサプライ(通貨供給量)も回復していない

各国の中央銀行が量的緩和を実施しているので、お金はじゃぶじゃぶではないかと思われるかもしれない。確かに、中央銀行が供給する流動性は大幅に伸びている。

流動性供給は中央銀行が国債などを買って、銀行に資金を供給することだが、民間がすぐに使える金とは違う。そのお金を銀行が民間に貸し、借りた人が使ったお金が銀行に戻ってまたお金を貸す。銀行の預金が増え、民間がお金を使えるようにするのがマネーサプライだが、それがほとんど増えていない

本来なら中央銀行が流動性を1割増やせば、マネーサプライも1割増える。リーマン・ショックの前はそういう方向で動いていたが、リーマン・ショック後の動きはそうではない。米国も欧州も何度か流動性を増やしたが、マネーサプライの伸びはほぼ皆無といっていいぐらいに低迷している。それでは景気は良くなるはずがない。

■日本がたどった道を教訓に

日本は97年に金融危機に直面し、日銀はマネタリーベース(資金供給残高)を増やした。米国の学者らは「量的緩和をやれば、日本経済は良くなる」と主張し、日銀はその圧力に押された。だが、マネーサプライの増加は極めて緩やかに過ぎず、民間向けの信用は逆に減少した。

日本が経験してきたことが今、世界中で起きているのだ。一生懸命に借金を返済し、資産と負債のバランスシートを健全化するというのは、個々の企業の手法としては正しい。ただ、全員が同じ行動をとればどうなるか

一国の経済では、一方に貯金をしたり、借金を返済したりする人がいれば、逆に必ずお金を借りる人がいなければいけない。それが通常の経済だ。ところが今は、ゼロ金利でもお金を借りる人がおらず、むしろ返している。

借金を返済したお金と、新たに貯金されたお金-。それらはすべて銀行システムに入るが、借りる人がいないため、銀行から出られなくなる

日本企業の借金返済が多かった時期には、返済された資金が年間30兆円を超えていたこれに家計部門の貯金が年間20兆円だとすると、あわせて50兆円分の所得が減っていた。つまり、国内総生産(GDP)が毎年、1割減少していてもおかしくなかった状況だった

だが、日本のGDPは1度もバブル期のピークを下回らなかった。どうしてか。政府が借金して使ったからだ

借金の結果、日本政府は460兆円という、自らのGDPの92%ぐらいという大変な債務を抱えてしまったが、実はそれは、世界で最も成功した経済政策の一つなのである。もし政府がこの政策を実施しなかったら、GDPは大幅に落ち込んでいた。極めて安い買い物ではなかったかと思う

この財政政策が示したことはどんな大きなバブルが発生して崩壊しても、政府が当初から正しい財政政策を対応すれば、GDPは維持できる。これは日本が世界に初めて示した教訓だ

■国債売却先を自国民に絞れ

米国や英国の長期金利は低水準で、債務危機はユーロ圏以外の国では起きていない。

ユーロ圏では史上最低の金利の中、家計や企業が貯金している。にもかかわらず、ポルトガルやアイルランド、スペインの金利が下がらない。そこがユーロ圏の債務危機のポイントだ

スペインの投資家はドイツの国債も買えるし、オランダの国債も買える。スペインの財政赤字が大きくて心配となると、スペインの貯金を大量に集めてドイツに持っていく。同じことがポルトガルやギリシャでも起きる。国内で多くの貯蓄を生み出しているのに海外に資金が逃避し、政府が借金しようと思っても国債の利回りが上がる

資金調達ができない政府は、財政再建を進めようとする。だが、民間が借金を返済するときに政府が財政再建にかじを切れば、経済はデフレスパイラルに落ち込んでしまう

数年前の資金の流れは、これとまったく逆だった。

ドイツやフランスの銀行は、猛烈な勢いでスペインやポルトガルの国債を買っていた。バブルだったからだ。だが、バブルが崩壊すると資金は一斉に逃げ出す。すると、政府が借金してお金を使わなければならなくなったときに資金がないという、破滅的な資本移動が起きる。これがユーロ圏の問題だ

どうすればいいのか。解決策が、実はある。ユーロ参加国が、自国民にしか国債を売ってはならないというルールを導入すればいい。この仕組みが導入されていれば、今回のような危機は起きなかっただろう

貯金が国内に残って金利が下がれば債務危機にはならない。資本規制になるという反発も出るだろうが、小さいことだ。国債以外の社債や株式は買ってもいい。

ルールを導入することにより、規律と柔軟性ができるわけだ。

借金をしたくても自国民を説得できない国は、それ以上、財政赤字は増えないことになる。そこに、規律が生まれる。大きな財政赤字を出さないといけない場合は政府が国民に説明し、国民が納得すれば、財政赤字を増やせるわけだ。そこに、柔軟性も生じる。

各国の財政問題はそれぞれの国の内政問題になる。ギリシャが破綻しても周辺国は影響を受けず、債務問題から解放される。

■資金の協調供給は対症療法

日本をはじめ、各国の中央銀行が協力して金融機関に対して、資金供給することになった。当然の行動だ。

ただ、それは対症療法に過ぎない。本当の課題は、ユーロ圏の中で起きる非常に不安定な資本移動をどう正すかということと、バランスシート不況に陥っている国々をどう正しいレールに乗せるかということだ。つまり、財政再建ではなく、財政出動にどうもっていくかということが重要なのだ

心配なのは、ユーロ圏で財政出動をやるべきという声が聞こえてこない点だ。

日本では97年と01年にマイナス成長があった。その原因は、97年に橋本政権が、01年に小泉政権が財政改革に取り組んだことだった。財政で支えられていた経済が、その支えを失い、税収が落ちて財政赤字が増えるという事態が発生した

日本の失敗の経験からみても、ユーロ問題は悪い方向に向かっている。財政再建に凝り固まれば、事態はもっと悪くなる。欧州で1つでも失敗すると、世界中がとんでもない状況に陥るだろう

☆シティグループ 大リストラ前哨戦? 4500人削減 不況・規制改革に対応(Fuji Sankei Business I 2011/11/08)

資産額で米3位の銀行シティグループのパンディット最高経営責任者(CEO)は6日、向こう数四半期で約4500人を削減することを明らかにした。同行は収入の落ち込みを受けてコスト削減を進めている。

パンディット氏はニューヨークでの投資家会合で、人員削減に伴い10~12月期(第4四半期)に約4億ドル(約310億8400万円)の費用を計上すると述べた。当局への届け出によると、同行の7~9月期(第3四半期)末時点の従業員数は約26万7000人。

◆自己勘定取引が対象

パンディット氏は長引く欧州債務危機に加え、最低資本基準の規制実施への準備でトレーディングと投資銀行部門の収入が脅かされる中で、人員削減に踏み切る。同行は9月にコスト抑制に向け、採用を「必要不可欠」な職種のみに限定する方針を示していた。

米銀行調査会社SNLファイナンシャルのアナリスト、ナンシー・ブッシュ氏は電話インタビューで、「シティの巨大さと世界的な事業展開を考慮すれば4500人は大した人数ではない」と述べた上で、「これはさらに大きな削減の端緒にすぎないのではないかとの疑いを抱いている」と付け加えた。

パンディット氏は2007年のCEO就任以来、これまでに解雇やシティ・ホールディングス部門の問題資産売却などを通じ合計10万人余りを削減している

パンディット氏はこの日、「金融サービス業界は、市場の不透明性と先進国経済の長引く景気不振に、われわれがこれまで経験した中で最大規模の規制改革が重なるという、かつてない極めて困難な経営環境に直面している」と発言。「こうした傾向は、今後数年間の競争状況に重大な影響を及ぼす公算が大きい」と指摘した。

パンディット氏によれば、当局が銀行による自己勘定取引の規制を目指していることから、今回の人員削減の一部は自己勘定取引部門が対象となる。10月にステシュ・シャーマ氏が率いた自己勘定取引部門「エクイティ・プリンシパル・ストラテジーズ」を閉鎖すると発表した。

◆7~9月期74%増益

ブルームバーグの集計データによると、世界の金融機関の今年これまでの人員削減数は20万人余りに達する昨年は約5万8000人、一昨年は17万4000人だった。バンク・オブ・アメリカのモイニハンCEOは、向こう数年内に3万人を削減する方針を表明している。

シティの7~9月期決算は、会計上の利益19億ドルがトレーディングと投資銀行部門の減収の影響を相殺し、前年同期比で74%の増益となった。会計上の影響を除いた実質収入は8%減の189億ドルだった。(ブルームバーグ Donal Griffin)

☆国債、預金に向かう個人マネー 景気懸念で強まる安全志向(Fuji Sankei Business I 2011/11/08)

個人のお金が国債や預金など比較的安全な資産に向かう傾向が強まっている。欧州の財政危機や円高による景気悪化の懸念から、株式や投資信託といった運用リスクの大きい商品を敬遠。金融機関は投資に慎重な個人マネーをあの手この手で取り込もうと躍起だ。

「国債の償還金をうちの金融商品に振り向かせろ。一番の課題だ」

ある大手銀行の営業担当者は今年初め、上司からこうハッパを掛けられた。しかし、今では「どこの銀行も同じだが、結果は散々」と浮かない顔だ

2006年に発行が始まった個人向けの5年物国債。今年1月、満期で国から元金が支払われる償還期を迎え、12年末までの償還予定額は8兆円強にも上る。現在の利率は0.32%で5年前の半分にも満たず、金利面の魅力が薄れている。このため金融機関は、国債償還でいったん個人に戻ったお金を投資信託など自社の金融商品に誘導する戦略を採っていた。だが、もくろみは外れた。5年物国債の償還があった1、4、7、10月の翌月は、3年物国債の発行額が827億~1166億円に膨らんだ。ほかの月はおおむね500億円程度のため、金融関係者は償還金のうち少なくない額が再び国債の購入に向かったとみる。

期待していた投資信託の販売はさえない。株式などリスク資産で運用する「株式投信」は、10月に新規の購入額が解約・償還額を6カ月ぶりに下回った。世界的な株安が響き、9月まで5カ月連続で運用損益はマイナス。運用成績の悪化で個人の購入意欲がそがれたようだ。

一方、安全志向から現預金は増え続けている。家計の金融資産のうち、現預金は6月末で828兆円と過去最高で、資産全体の5割強を占めた

信託銀行の男性は「今『投資信託を買って』とはいえない。自分も比較的価格が安定している金を買う」と苦笑いする。

金融機関も手をこまねいているわけではない。りそな銀行が5月から売り出した金銭信託「信託のチカラ」は、即売が続く。高格付けの円建て債券に投資。

手数料が不要な上、為替リスクをなくすなどして利回りの向上を目指したのが特徴だ。計130億円の応募のうち1割強が、従来はりそなと取引がない顧客だった。

経営破綻した際、支払い順位が通常の社債より後回しになる代わり、利率は高い「劣後債」にも力を入れる。この秋、三井住友銀行が1900億円、埼玉りそな銀行が500億円、三菱UFJ信託銀行が400億円の個人向け劣後債を発行。年1%超の利率が売りだ。

住友信託銀行調査部の青木美香調査役は「個人マネーがリスク商品購入へ動きだすには時間がかかる。金融機関も工夫が必要だ」と話している。

【所感】

◇日本国内では国債や大手金融機関の劣後債(年1%)が相変わらず売れています。増税論議を見るにつけ景気の先行きに不安を感じる国民の意識が低リスクで少しでも良い条件を選好した結果だと思います。世界に目を転じると、金融機関の要員削減数は減少するどころか増えています。

◇鄧小平氏の改革開放路線のアドバーザーであったリチャード・クー氏は現在欧米が直面している危機は「バブル崩壊後の日本の教訓を生かすべきだ」と指摘しています。処方箋として、積極的な財政出動などの必要性を訴えています。同氏は著作の「サブプライム危機とグローバリゼーションの行方」で、小渕首相による財政出動が日本の危機から脱出することを可能にしたとを高く評価しています。今の中国にはどのような処方箋があるのでしょうか、日本からの中古建設機械の輸出は激減しているようです、厳しい雲行きですね。

◇リチャード・クー氏はこの著作で、日銀の政策会議でいくら竹中平蔵氏が流動性供給を強く訴えても、企業が借入金を返済しているから無理であったと指摘しています。いわゆる「バランスシート不況論」ですね。小渕さんの財政出動の前に何があったか、もう少し詳しく見てみましょう。阪神大震災の復興で景気が上向きそうなときに消費税を上げ景気を冷やしてしまったことが背景にあって、中々財政出動の効果がでなかったのです。

◇小渕氏の財政出動と小泉首相の規制緩和のお陰で経済が上向きかけた2006年、日銀は流動性供給政策を停止し景気を冷やしてしまいました。経済が後退する中、民間企業がキャッシュ・フロー経営を目指して、借入金を減らすことは強い経営体質への改革を意味します。そのお陰で内部留保が増え、リーマン・ショックの際に企業は簡単にリストラの道を選ぶことが無かったのです。

◇その内部留保に課税すべしとの声が政治家の口からでてくることに驚きを超えてあきれたのはつい先年のことでした。この声が聞こえなくなったと思ったら、経団連は消費税増税容認を踏み越え推進しようとしています。経団連のお歴々は団塊の世代が食い逃げしているとの批判に後ろめたいものを感じるとの本音を聞いたことがあります。

◇個々の組織が最善を尽くす、(例えば借入金を返済する)そのことが景気全体を悪くする、これを合成の誤謬(ごびゆう)と言います。かつては、放置することができず戦争に至ったことが往々にしてありました。最近人気が無いケインズ氏の財政出動は戦争を防ぎたいとの動機があったと言われています。

◇日本はデフレ先進国として、合成の誤謬からの脱却法を世界に示すべきではないでしょうか? 夢を具体化するビジョンによってこそ、未来への大胆な投資が可能となります。投資は債権が下がることを見越した空売りのような投機などとは一線を画したものなのです。真の豊かさを心から求めましょう。


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